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プロ野球解説に仕返しを試みる
野球中継における実況者、解説者の役割というのはハッキリさせてもらいたい。
解説は元プロ野球選手が担当することが多く、彼らは放送のプロではないという見方もあるかもしれないが、現役を退き解説が主な仕事になっている以上はプロの解説者であってもらいたい。
例えば「今のは内角を狙ったのがシュート回転して甘く入ってしまいましたね」これは解説。しかし「次は外の変化球で三振ですね」これは解説なのだろうか?
またキャッチャーが外に構える。「ここは内角に行った方が良いと思いますけどね」これは?普通に考えれば起きていない現象を解説することは出来ないので、予想、しかも主観が入っているので希望・意見ということになるだろう。最低限、相手打者のここ数ヶ月のデータを根拠に上げない以上、断固として「解説」とは言えない。解説だと言うのならばむしろ「なぜここで外なのか」を説明しなくてはならない。同じように、打者が3ストライク目を見逃す。「今のは振って欲しかったですね」これは完璧に感想だ。視聴者は本当にそれが聞きたいのだろうか。私は「なぜ見逃したのか」に元プロの視点で合理的な説明をしてもらいたい。もちろん打者本人にしかわからない部分もあるだろうが、可能性をあげることは出来る。その前の球が同じようなところからボールになったからなのか、コースが良すぎて手が出なかったのか、全く予想外の球種が来たからなのか、あるいは打者はここのところ思うようなスウィングが出来ずバットの出が悪くなっているのか、四球を取りに行こうという気持ちが強く出てしまったのか。それを踏まえて「見逃し三振」がその打者の次の打席、投手の心理、両チームのムード、ゲームの展開にどう影響する可能性があるのかを解説して欲しい。

予想・希望・意見・感想が解説と異なる点は明確で、前者は主語が解説者、後者は選手。要するに解説者自身の話かプレー中の選手の話か、という差である。
解説者は素人の「え~なんで!?」を解消するためにいるのではないのか。プロ野球選手がどんなに高度な世界でプレーしているかを視聴者にわかってもらうためにいるのではないのか。
視聴者はその日HRを打った選手のことは少なくとも次のゲームまでは忘れないだろうが、その日の解説者がだれだったかを覚えている人はまれだろう。
解説者というのは所詮その程度のものなのだ。

選手より自分が正しいといくら主張したところでファンの反感を買い、いたずらに悲しませるだけで何の良いことも生まれない。言われた方はどうしたら良いのだ。自分の応援してる選手はそんなにダメなのか、とガッカリしながら風呂に入るしかないではないか。
(もちろんこれは実況アナウンサーにも、広義には素人解説にも言えることで、私もその轍を踏まないように努力しているつもりです)


2006.06.12



※取り上げた解説者・評論家が、harunokが普段主に視聴しているABC、サンテレビに偏っております。(放送回数の少ない方は特徴がつかめないので割愛しました。ラジオは聴きません)順不同、2006年現在

吉田義男(ABC解説、ニッカン評論) :縁起物。最近はあまり喋らない。口癖は「そうですぅ~」。キャンプになると若手好きが発動。
福本 豊(ABC解説、サンテレビ解説) :解説神。面白いおっさんと見せかけて野球には非常に厳しい。が、若い選手にも敬意を払う懐の広い人。喋りながらも選手のプレーをよく見ているためアナの話を聞いていなかったりするが優先順位としては正しい。例え負け試合でも視聴者をあまり悲しませず、楽しんでもらおうというサービス精神の持ち主。ジャケットがピンクだったりネクタイがミッキーだったりする。
木戸克彦(ニッカン評論) :昨年まで2軍監督だったため、現場の勘がまだ生きている。ゲーム全体を見渡すバランスの良さが捕手っぽい。ウェスタンで対戦した他球団の若手情報を小出しにしてくる。選手には厳しいが、外からはわかりにくい良いプレーをわざわざ指摘して褒めてくれる点ではいい解説者。たまに知らん顔して話に「キャッチャーの苦労」を混ぜ込んでくる。岡田監督があまり好きではないらしい。一度気に入らんと思ったプレーは決して許さない執念深さも窺える。
一枝修平(MBS解説、GAORA解説、ニッカン評論)  :爺さん。苦言担当。非常に計算高く、勿体無いプレーが大嫌い。愁いを帯びた口調でなんとなく不吉な予想などをするのでマイナス思考のタイガースファンには堪えられない。が、最近切れ味がすこし鈍ってきたよ・・・寂しい。
真弓明信(ABC解説、サンテレビ解説) :一時代を築いた選手とは思えない自己顕示欲の低さに天然な性格、鳩派の左大臣。打撃の細かい話はさすがに面白く、特に代打の経験が解説に深みをもたらしている。近鉄コーチ時代の知識はそろそろ賞味期限なのか・・・?口癖は「そうなんですよね」(←同意の意味ではなくたんなる相槌)。放送席が映るとちょっと幸せになれる素敵なおじさん。ほっとくと丸1イニング黙ってたりする危なっかしい一面がある。しかし、たまにアナの振りにムッとして意図的に無視したりもする。
中田良弘(サンテレビ解説) :癒し系。根本的にすごくお人よしのようで選手を責めたり決めつけで非難したりはしない鳩派右大臣。スローモーで天然なので特番などに現れるとイライラするが試合中には丁度いい。かなりの解説勝率を誇っている(はず)。投手独特のヘタレな一面を凄い説得力で語りつつフォロー。口調は限りなく独り言に近く、しばしば意味がわからなかったりもする(そんな時に限って話が長い)。が、そこがいい。
湯舟敏郎(ABC解説、サンテレビ解説) :現役選手と比較的年が近いせいかかなり好きなことを言いまくる鷹派の新鋭。現役時代のことを何も知らない人が聞いても一瞬で投手だったとバレそうなスーパーポジティブ思考、調子の出ない投手にもストレート勝負・内角攻めを要求。投げられないという考え方はない。解説には主観が入りまくるので、聞いている人は、「ああ、副音声で今投げてる投手の脳内流してるんだ」くらいに思わないとストレスが溜まる。が、今の投手陣がこんなに傍若無人だとはとても思えない(特に杉山とか安藤とか・・・)。たまにフォローも、なくはない。
有田修三(ABC解説、サンテレビ解説) :正月に会うと思わず後ずさりたくなる親戚のおじさんみたいな解説、鷹派代表。基本的に斜め目線。自己顕示欲の強さは湯舟さんといい勝負なので、選手がポカをやらかすと鬼の首を取ったようになる。が、そのむかつく言い草を差し引くと、わりと正しいことを言ってたりするので、視聴者は負け試合で3倍くらい苦しい目に遭う。口癖は「インハイ」。
金村義明(フジテレビ解説、関テレ解説) :ネタ先行のキャラクターなためあまり信用されてないようだが、レギュラー番組を持っておりタイガース選手から目を切らさないのでチームの状況把握はちゃんと出来ている。話はかなりくどい。飲みすぎて声を潰したり、プロ意識はほとんどない模様。ユニフォームを脱いで久しいので、選手と近いところにいるわりにあまりキツイことは言わない(というか言えない?)。ワイドショーでは井川・金本・赤星・今岡あたりの有名どころに話を絞るので(ワイドショーとしての戦略は正しいと思うが)マジメに試合を見ている人はイライラするに違いない。
川藤幸三(よみうりテレビ解説) :東の東尾、西の川藤。選手の内面を切々と語りだすイタコ解説、これを適度に見守りつつ楽しめるようになったら大人の仲間入り。アナウンサーがマジメに相手をしてしまうと止まらなくなる(そしてアナは説教される)。浪花節はともかく試合の流れなどは正しく教えてくれるので、必要な情報だけを視聴者の脳内で再構成すれば恐れることはない。厳しいことを言った選手にはフォローもあり。ただ、彼の中では「選手はみんな頑張ってる」という大前提があり、それが大きすぎてフォローする必要性を忘れることもしばしば。忘れてるだけなんですヨ。
掛布(日本テレビ解説・よみうりテレビ解説)&江川(日本テレビ解説) :究極の各論コンビ。球界における微妙なポジションが共通項。それぞれ担当がハッキリしているので息は非常に合っている。質問しなくても勝手に喋りだすのでアナウンサーは楽できるに違いない。牽制1球、見逃し方ひとつで状況がかわるということをオンタイムで解説するので勝負に熱中したい人はやかましいと感じるかもしれない。話は共にオーソドックス、「客観的に他人に伝える」という解説者の立場を基本的にはよくわかっていると思う。予想が外れた場合は素直に感心してたりして、煩いわりには憎めない。江川氏は、自ら司会を務める夜のスポーツニュースになると主張が変わってたりする読売的な一面も。
by harunok | 2003-06-12 16:50 | 野球
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